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沖縄の民話~ハーリーのはじまり~

今日は前回、沖縄の民話を紹介してくれた名鏡さんから、民話第二弾をお届け。

若干、季節が違っちゃってますが、そこはご愛嬌。

次の5月まで待ってたら、載せるの忘れちゃいそうなのでσ(^_^;

では、早速見てみましょー!

 

沖縄の民話~ハーリー編~

沖縄の民話を紹介していただいてからというもの、

「民話っておもしろい!」

という思いに駆られ、沖縄の民話の本を何冊か買っています(笑)

そんな中「ハーリーのはじまり」なる話を見つけました。

ハーリーは以前のブログでも登場していますよね。

ハーリー

そのハーリーの起源についての民話です。

民話なので、もちろん歴史的に正しいかどうか分かりません。

インターネットで調べてみると、「諸説あり」と出るサイトもありました。

話のおもしろさを楽しんでいただけたらと思います。

 

ハーリーのはじまり

中国での話。

昔々、王様が家来を集めて、世の中で何が一番おいしいかをおたずねになった。

家来は、とりの御汁やら、肉汁やら、魚汁やら答える中で、一番の家来だけは

「塩が一番おいしいです」

と答えました。

塩

王様は思いがけない返事にたいそうお怒りになり、お椀にいっぱいの塩を持ってこさせて、

「この塩を食え」

と命じました。

その男は塩を全部食べてしまいましたが、

(この王様のところでは、生きてはいられない)

と思い、離れ島に行ってしまいました。

これ以来、雨がずっと降り続くようになり、塩が作れなくなってしまいました。

国中の塩がなくなり、王様はどんなごちそうを食べても、塩が入っていないので、味がなく、ちっともおいしいと思いませんでした。

塩がごちそうだったこと、そして自分の間違いに気付いた王様は、離れ島にいる男を迎えに行くよう命じます。

家来が迎えに行くと、男は

「私を連れ帰るのであれば、竜の絵を描いた舟を三隻(さんそう)作って、太鼓を打ちながら、もう一度迎えに来てくれ」

と言いました。

ハーリー舟

そこで王様は、男の言うとおりに舟を作って竜の絵を描かせ、太鼓を打ち鳴らしながら、迎えに行かせました。

家来たちがその男を舟に乗せて帰ってくる途中、突然男が立ち上がり

「明日からは、雨も上がり、塩を作ることができますように」

と言って祈り、海に飛び込んでしまいました。

家来たちはおどろいて、すぐに海に飛び込んで男を捜しましたが、どこにも見つかりませんでした。

そのことを一刻も早く王様に知らせようと、家来たちは三隻の舟で競い合うように帰ってきました。

家来たちは王様に、男が海に飛び込んだ様子を申し上げました。

その日は、五月四日でした。

その日から男が祈った通り、長い間降り続いた雨が上がり、ようやく塩を作ることができるようになりました。

その後、毎年五月四日は、海に飛び込んだ男をしのんで、竜の絵を描いた舟で、太鼓をたたいて、舟の競争をするようになりました。

これが、中国のハーリーのはじまりだそうです。

参考文献「沖縄むかしむかし 子どもに語る沖縄の民話①」フォレスト出版 2007年

 

男の正体は……

科学的に考えるなら、この話はきっと梅雨明けの時期だからこそ成り立つのでは、と思います。

もしくは、男が梅雨明けの時期を知っていたのかもしれません。

しかしこれは民話。

ちょっと想像を膨らませて考えてみると、もしかしたら男は竜そのものだったのかも、とも思いました。

竜は古来より、水の神として祀られたり、雨乞いと関わったりしてきました。

(そういう存在なのは日本だけかもしれませんが、沖縄に残っている民話なので、あり得るのでは……)

雨を司る存在だからこそ、雨を止ませることもできた。

そして何より、男が要求したのは「竜を描いた舟」だったことも、そんな想像を膨らませる要因です。

 

ちょっと補足

ちなみに前回の「月にのぼったアカナー」の補足ですが、

「猿は次第にアカナーの屋敷を乗っ取りたくなった」

とか、

「自分の屋敷のように思えてきた」

といった理由で勝負を持ちかけた話が多いようです。

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