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ミルクムナリ棒術 其の壱~礼~

  • 2017年12月24日
  • テーマ:

街はクリスマスモード全盛ですが、毎年この時期、世間とは関係なく作業てんこ盛りの広報部です。

昨年もクリスマスに作業してたなぁ( ̄∇ ̄)

さて、イベントでは過去2回しか披露していないミルクムナリの棒術ですが、演舞考案者である川上さんから演舞に込めた熱ーい想いが届きましたのでお届けしたいと思います♪

 

ミルクムナリ棒術

ミルクムナリ棒術の演技は、沖縄の空手・古武道だけではなく、中国棒術の技法などからも着想を得ています。

それらを武術の動きのまま、あるいは踊りとしてアレンジして出来上がりました。

以下、演技の成り立ちや意味などについて解説していきます。

 

はじめに左手を胸の前に合掌のように構えて礼をするのは、総じては観客の皆様や古今の沖縄空手・古武道の先生方への感謝を示し、別しては文化大恩の国・中国への甚深なる謝意を表しています。

したがって、沖縄古武道の礼法ではなく、中国棒術の礼法を採用しています。

中国棒術の礼法には、片方の掌にもう片方の握り拳をあてる、いわゆる「抱拳礼」と、少林棍(Shaolin Staff)に見られるように、片方の手を胸の前で合掌のように構える礼法などがあります。

今回はミルクムナリの空手や太鼓隊の合掌に合わせる意味も兼ねて、後者の少林棍の礼法(嵩山少林寺スタイル)にしました。

礼の違い

▲左が抱拳礼、右は少林棍法スタイル

(Coco撮影 2017年10月 稽古場)

 

迎恩の心

沖縄は琉球王朝時代、あるいはそれ以前より、

「世界を結ぶ橋とならん」

との万國津梁の心意気で中国や朝鮮、大和(日本)、東南アジアの国々と交易していました。

黒潮のエネルギーや、十月から翌年の二月頃までに吹く「ミーニシ」という季節風を利用して航海していたといいます。

その結果、とりわけ中国からは、教育、芸術、建築、風俗・風習など、文化万般にわたって多大な恩恵を受けてきました。

首里城正殿

▲中国・日本の建築様式が混ざった首里城

(水野順一郎撮影 2008年 沖縄)

諸説ありますが、武術においても同様で、沖縄古来の護身術に東南アジアや中国の武術がミックスして現在の空手・古武道へと変遷してきたといわれています。

水野さん棒術

▲力強い棒術を披露する水野さん

(水野順一郎提供 2007年 沖縄)

多くの国々からの恩沢で成り立つ沖縄には「迎恩」という美しい言葉があります。

知恩報恩は人間がより人間らしく生きるための根本です。

礼儀は教えるが恩義の大切さは説かれることが少なくなった現今の日本社会に生きる我々にとって、この言葉は味わい深いものがあります。

迎恩

▲「恩を迎ふ」とは、なんと美しい言葉であろうか!

(水野順一郎提供)

 

代表の教え

水野さんが団員に指導しているのは、この「恩」を知り、それに感謝し、報いていく人生であることが最も肝要であり、人生の根本であるということです。

それがあってはじめて真心こもる「礼儀」が成り立ち、知恩報恩のない礼儀などは、ただの形式にしかすぎず、要領のよい人間でしかない!と喝破しています。

これは見事に本質を穿った卓見であると思います。

いかに社会的な礼儀をわきまえていても、今まで自分を育んでくれた周囲の人々や親の恩を忘れて正しい人生などありえないからです。

我々は、観客の皆様や応援してくださるファンの方々への感謝を胸に、日々の練習に励むとともに、さらなる高みへと挑戦する気概を常に持ち続けていきたいと決意しております。

タイにて

▲感謝の心を忘んなよ~☆忘れたらしなさりんど~♡

(水野順一郎提供2007年 タイ)

【ミルクムナリ棒術 其の弐】へつづく

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